Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Lesen Sie 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.330 Zeichen · 497 Bildschirme
ぞっとするような事も度々だけれど、この汽車に乗れる幸福はまことに有難いことだ。東京へ再び来る事があったら十円は身を粉にしても返さなければならない。西片町はさよなら。
何事もおぼしめしのままなる人生だ。えらそうな事を考えてみたところで、運命には抗しがたい。昔男ありけりではないが、ああ、あんな事もあった、こんな事もあったと、暗い窓を見ていると、田園の灯がどんどん後へ消えてゆく。少しも眠れない。一つのささやかな遍歴の試みが、私をますます勇気づけてくれる。何でも捨身になって働くにかぎる。詩なぞはもうこんりんざい書くまい。詩を書きたい願望や情熱は、ここのところどうにもならない。大詩人になったところで、人は何とも思わぬ。狂人のようになれぬ以上は、このみじめな環境から這い出すべしだと思う。夜の雲がはっきりみえる。
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(八月×日)
岡山の内山下へ着いたのが九時頃。橋本では、まだみんな起きて涼んでいた。一カ月程前に、お義父さんもお母さんも尾道へ戻っていると云うので、私はがっかりする。一晩やっかいになって、明日の早い汽車で尾道へ行くことにする。橋本は、義父の姉の家なり。