Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Lesen Sie 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.330 Zeichen · 497 Bildschirme
今日は寿美蔵が手拭を撤く日だから、どうしても、早い目に社を出て行くのだと大いに張りきっている。赤坂の聯隊が近いのだということで、会社へ着くころには、いつも喇叭が鳴りひびいている。
小学新報社というのが私たちの勤めさき。旧館の二階の日本間に、机を八ツ程あわせて、私たちは毎日せっせと帯封書きだ。今日は、鹿児島と熊本を貰う。まだ時間が早いので、窓ぎわで池田さんと、宮本さんと三人で雑談。日給をなんとかして月給制度にして貰いたいと話しあう。日給八十銭ではなんとしてもやってゆけないのだ。四谷見附から市電の電車賃を倹約してみたところで、親子三人では仲々食べてはゆけない。池田さんは親がかりなので、働いた分がみんな小遣いの由なり。羨しい話だ。八時十分前、みんな集る。私は例によって、一番暗い悪い席に坐る。頭株の富田さんが指図をするので、窓ぎわの席へは仲々坐れない。
小学校便覧の活字も小さいので、眼の近い私には、人の二倍はかかってしまう。眼鏡を買いたくても、八十銭の日給では、その日に追われて眼鏡を買うどころのさわぎではない。
もうじき一の酉が来る。
富田さんは今日はいちょう返しに結っている。