Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんぱん ほうろうき

新版 放浪記

林 芙美子

Lesen Sie 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.330 Zeichen · 497 Bildschirme

Aozora Bunko

女、いなとよと叫び、畳をにじりて、ともに添寝せばやと、せめてその事のみに心はぐらかさんものとたくらみ、紐と云う紐、刃物と云う刃物とりあげてたくみたり……。

雨は少々響々の鳴りをひそめる。

(八月×日)

高架線の下をくぐる。響々と汽車が北へ走ってゆく。

息せき切って、あの汽車は何処へ行くのかしら、もう、私は厭だ。何もかも厭だ。なまぬるい草いきれのこもった風が吹く。お母さんが腹が痛くなったと云う。堤に登って、暫くやすみなさいと云ってみる。征露丸を飲みたいと云うけれど、大宮の町には遠い。

じりじりと陽が照る。

よくもこんなに日が照るものだと思う。何処かで山鳩が啼いている。荷物に凭れて、暫く休む。今夜は大宮へ泊りたいのだけれども、我まんして帰れば帰れない事もないのだが、何しろ商売がないのには弱ってしまう。眼をつぶっていると、虹のような疲れかたで、きりきりと額が暑い。手拭を顔へかぶる。お母さんは、少ししゃがんでいきんでみようかと云う。三日もべんぴしているのだそうで、どうも頭が割れるようでのうと云う。

「おおげさな事を云うてるよ。少しそのへんでゆっくりしゃがんでなさい」