Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Lesen Sie 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.330 Zeichen · 497 Bildschirme
からりと晴れた空。まるで、コオボウ大師を背中にしょってるような暑さなり。
夜、一銭なしで、義父上京。
広島も岡山も商売は不景気な由なり。
私はこの人達から離れて暮したいと思う。一緒に暮していると、べとべとにくさってしまいそうだ。心のなかでは、何時でも気紛れな殺人を考えている。少しずつ犯人になった恐怖におそわれる。自分も死んでしまえばいいと思いながら、人間はこうした稀れな心理のなかには仲々飛び込めないものだと思う。穏かに暮してゆくには、日々の最少の糧がなくては生きてゆけない。頻繁に心理的なしゃっくりになやまされる。考える果ては金が欲しい事だ。金さえあれば、単純な生き方が何年かは続けられる。このさきざき、珍らしい事が起きようとは思わない。充分満足する心が与えられない。前の荷馬車屋で酔っぱらいの歌がきこえる。火の粉のように爆発したくなる。もう一度、あの激しい大地震はやって来ないものだろうか。何処を歩いても、美味そうなパンが並んでいる。食べた事もないふわふわなパンの顔。白い肌、触れる事も出来ないパン。
夜更けて、ハムスンの「飢え」を読む。まだまだこの飢えなんかは天国だ。