Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Lesen Sie 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.330 Zeichen · 497 Bildschirme
毎朝早く、町の女達と一緒にトロッコを押しに出かけて行く気立の優しい狂人である。私はこのシンケイによく虱を取ってもらったものだ。彼は後で支柱夫に出世したけれど、外に、島根の方から流れて来ている祭文語りの義眼の男や、夫婦者の坑夫が二組、まむし酒を売るテキヤ、親指のない淫売婦、サーカスよりも面白い集団であった。
「トロッコで圧されて指を取った云いよるけんど、嘘ばんた、誰ぞに切られたっとじゃろ……」
馬屋のお上さんは、片眼で笑いながら母にこう云っていたものだ。或る日、この指のない淫売婦と私は風呂に行った。ドロドロの苔むした暗い風呂場だった。この女は、腹をぐるりと一巻きにして、臍のところに朱い舌を出した蛇の文身をしていた。私は九州で初めてこんな凄い女を見た。私は子供だったから、しみじみ正視してこの薄青いこわい蛇の文身を見ていたものだ。
木賃宿に泊っている夫婦者は、たいてい自炊で、自炊でない者達も、米を買って来て炊いてもらっていた。
ほうろくのように焼けた暑い直方の町角に、そのころカチュウシャの絵看板が立つようになった。異人娘が、頭から毛布をかぶって、雪の降っている停車場で、汽車の窓を叩いている図である。