Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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たびへのいざない

旅への誘い

織田 作之助

Lesen Sie 旅への誘い (たびへのいざない) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.734 Zeichen · 12 Bildschirme

Aozora Bunko

その姉のさびしい生涯を想えば、もはや月並みな若い娘らしい幸福に甘んずることは許されず、姉の一生を吹き渡った孤独な冬の風に自分もまた吹雪と共に吹かれて行こうという道子にとっては、自分の若さや青春を捨てて異境に働き、異境に死ぬよりほかに、姉に報いる道はないと思われた。

「お姉さまもきっと喜んで下さるわ。」

南方で日本語を教えるには標準語が話せなくてはならない、しかし自分は三年間東京にいたからその点は大丈夫だと、道子はわざわざ東京の学校へ入れてくれた姉の心づくしが今更のように思い出された。

志願書を出して間もなく選衡試験が行われる。その口答試問の席上で、志願の動機や家庭の情況を問われた時、

「姉妹二人の暮しでしたが……。」

と言いながら、道子は不覚にも涙を落し、

「あ、こんなに取り乱したりして、きっと口答試問ではねられてしまうわ。」

と心配したが、それから一月余り経ったある朝の新聞の大阪版に、合格者の名が出ていて、その中に田村道子という名がつつましく出ていた。道子の姓名は田中道子であった。それが田村道子となっているのは、たぶん新聞の誤植であろうと、道子は一応考えたが、しかしひょっとして同じ大阪から受験した女の人の中に自分とよく似た名の田村道子という人がいるのかも知れない、そうだとすれば大変と思って、ひたすら正式の通知