Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

人の一番望んでいるものを見てしまった空虚さに日日考える力も失われていく疲労を強く感じ、今はこの花の白さに溶け入ってなるままに身を任せてしまいたいと思うのであった。

「ボートが流れるといけないわ。もう行かない。」

とアンリエットは久慈に注意した。

「あ、そうだ。」

久慈は身を起しかけたが東野の姿が見えなかったので、また四人は椅子に腰を降ろして待っていた。

「この向うに、日本の滝と同じ滝があってよ、御覧になりたくない。」

アンリエットの薦めに久慈は顔を横に振った。

「日本的なものは、ここへ来てまでも見たくないね。暫く忘れに来たんだからな。」

「あら、じゃあたしたちあなたにお逢いするのも考えなくちゃいけなくなるわ。」

と千鶴子は皮肉そうに久慈を睨んだ。

「そう云うわけじゃないさ。外国にいるからには、なるたけ外国にいるんだと感じたいんだからな。」

久慈の云い難そうな弁明も、それならやはり千鶴子よりもアンリエットと遊びたいと思わず洩らした意味ともなり、かすかにこぼれた千鶴子の笑顔も妙に久慈から遠ざかって消えるのだった。

東野が花壇の中から現れて来ると一同はカフェーを出て、自分たちの乗り捨てたボートの方へ引き返した。