Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
入浴して後二人は夕食をとり、旅の話をしているときから雨が降って来た。夜の散歩も雨のやむのを待ってからにしようと云って、二人は矢代の部屋でまた話をしていると、雨は夕立となり篠つくばかりの激しさになって来た。
矢代は疲れて千鶴子と別れその夜は早く眠ることにしたが、雨の音の激しさに灯を消しても寝つかれなかった。彼はまた起きると、カーテンを上げ、窓に肱をついて山の方を仰いでみた。氷河を貫くように斜に降る強い雨足が、建物に衝り爆け、石の壁を伝って流れ落ちると、道路の上で音立てて崩れていった。
昼間の日光に温まった山山の岩も冷えて来たのであろう。急に冷くなった空気に矢代の身体は縮まったが、人一人も見えぬ彫りの深い夜の街に雨の降り込む美しさは、鬼気身に沁み込む凄絶な趣きだった。
矢代は、暫くしてノックの音が聞えたのでドアの鍵を廻すと、千鶴子が真白な服で立っていた。
「あたし、恐くって眠れないのよ。もう少しお話してちょうだい。」
寒さに慄えるように千鶴子は肩を縮めて這入って来た。
「ひどい雨ですね。僕も眠れないもんだから雨を見てたところです。閉めましょうか。」
「いえ、いいわ。