Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
このことは礼儀として一応船客たちの誰も考えねばならぬ最も重要なことであった。勿論、印度洋あたりの無聊なときに、チップの金額を一定にしょうと云い出すものがあって、すでに金額は定まっていたのだが、さて支払日となると規定のことも破れてしまう。別れてしまうのも後数時間のことである。あれほど親しかったものたちも、「別れてしまえば、」と思うと、誰もうとましくなるものであった。船中は楽しかったとはいえ団体生活であるから、思えば誰にも自由がなかった。不快なことがあっても忍耐をしていなければならぬ。殊に同じ一等の船客ばかりであってみれば、日ごろ日本にいるときの地位や名誉や財産などは、何の権威にもならなかった。階級差別の何もなくなってしまっているこのような所では、ただ人の性格と年齢だけが他人に働きかけるだけである。
船客たちが団体で港港に上陸したときの金銭の貸借も、今日は整理をするのだが、誰が誰に貸しがあり誰が誰に借りがあるかは、も早や混雑して分らなくなっている上に、僅の金を返せ返せと云って廻る面倒も若者たちはしたくなかった。それを知った沖氏は自分からその面倒な整理を申し出た。