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Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

あたりに漲っている薄汚なさも工夫に工夫を積んだ結果の巧緻なリアリズムに近い芸があった。

久慈は自分が舞台に上った生身のお客のような感じがした。東野や矢代をふと見ると、いずれも役者になったことも知らず、苦苦しくふくれている芸無し猿の二本の大根に見えて来た。

「あ、これやもう、現実を抽象してしまっておる。」

久慈は思わず膝を撫でながらそう思い、あらためて女たちの想念の中まで見たいと、歩くときの手の曲げ方、足の開き具合や鬘のつけ様を見るのだった。

「さア、勘定。」

と矢代は云うと、一人の女が久慈の傍へよって来た。

「あら、もうお帰り。」

と女は云いつつ久慈の膝に手をかけた。幅広い男の体温がむっとして吐く息が頬に荒くかかった。それには流石のパリ贔屓の久慈も寒気を感じてもう我慢が出来なかった。

矢代の後から久慈と東野も外へ出たが、出ると同時に三人は声を合せて笑い出した。入り代りに旅行者らしい三四人の客がまた中へ這入っていくのを振り返り皆は顔を撫でた。

「ああ気持ちが悪い、どっか、せいせいするところがないかね。吐きそうだ。」と矢代は先に立って山の頂上へ登りながら、「あれはいったい何んという思想だ。