Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

「真紀子さんはまだずっとこちらにいらっしゃるのかしら。」

千鶴子は久慈の傍へよって来て同じように欄干から下を覗きながら訊ねた。ドイツを廻っていた矢代の留守中、ウィーンから突然出て来た真紀子の部屋を、矢代のホテルの部屋にしておいたまま彼が帰って来ても移さずじまいで、ただ矢代を真紀子の下の部屋へ移したきりであったから、千鶴子には同じホテルにいる二人の動静も気がかりの種になっているのかもしれぬと久慈は想像した。

「真紀子さんも日本へ帰るような口振りでしたよ。ホテルを変えたっていいんだけれど、すぐ矢代が帰って来たから変えるというのも、無作法だからな。しかし、そう心配したもんでもないでしょう。」

「まア、いやな方。」

千鶴子の顔の染まるのをいくらか嫉妬めく心で久慈は見ていた。彼には誰が誰とどんなになろうと、そうなればなっただけパリ生活の深まりを見る思いに染まっていたときとて、千鶴子のとやこうと気遣う気持ちも、渦中に吸い込まれる花弁を見るようにまたそれも楽しみの一つだと思った。しかし、今日は千鶴子はどういうものかいつもより久慈には美しく見えてならなかった。

「久慈さんはほんとにお変りになったのね。