Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
「もう眠みなさいよ。今夜はこの人疲れてるんだ。」
久慈は真紀子をひき起そうとして寄ってゆくと、気を利かした高は立ち上って帰る挨拶をみなにした。
「いいんですよ。あたし、泣いたりして御免なさい。何んでもないの。」
謝る真紀子を千鶴子と矢代は慰めながら立って帰ろうとした。真紀子はそれも引きとめたが、もう十一時を過ぎたからというので、皆はそれぞれ部屋の外へ出ていった。潮鳴りの退いたような静かな廊下に立った久慈と真紀子は、顔も見合さずまた部屋へ戻って来た。真紀子はもう久慈に物を云おうともせず寝台の上へ倒れてまた泣きつづけた。
久慈は自分のいた椅子に凭れひとりコップを舐めていたが、だんだん嗚咽の声が鎮まるにつれ、真紀子に突き刺さろうとしていた棘も朧ろに凋んでいくのを感じた。
「もう良いだろう。ここへ来なさいよ。」
と久慈は云った。真紀子は素直に起きて来ると、小娘のような初初しさで少し膨れ、久慈と並んで椅子に腰を降ろした。久慈はコップを真紀子の前に置き軽く溜息をつきながら、
「もう少し飲みなさいよ。」と云って顔を見た。
「駄目。」
久慈は残っているウィスキーをコップに二はい続けて上げると、今度は妙に調子のとれぬ頓狂な速度で急に彼に廻って来た。