Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

あんまり沢山ありすぎて、みんな馬鹿になってるのだよ。こんなにあっちゃまごまごして、何を拾ったらいいのか知らんのさ。遣欧使の堕落だよ。」

「いや、違う、一番肝腎のものがたった一つないのだ。それでみんな屑拾いになったんだ。電気を見てるとどうもそう思う。だいいち、これは物理学でもなければ化学でもないからな。そのも一つ向うの悪の華みたいなものだ。こうなれば、一切の言葉が無になったと同様だよ。」

云い出せばまたきりもなく話し出し、争い出すのを感じて二人は黙った。千鶴子はその隙を見て一同に散歩をしようとすすめて立った。

「言葉が無になったら歩くに限る。」

と矢代も笑いながら千鶴子の後につづいてカフェーから出ていった。前からの様子で久慈は、昨夜から今朝へかけて二度も千鶴子と会った自分を、まだ矢代は知っていないのだと、問わず語らず勘づいていたが、今はそれを云うべき時期でもないと思い、ただ一人それを知って黙っている千鶴子の巧みな装いに応じつつ、こちらも知らぬげにこうして歩いてゆくのは、秘密でもないある正しいものを秘密の色に包み隠し、やがてはそのようにしてしまう奇術に似た運動だと思った。