Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

久慈は真紀子の希望する男の車が近づくと、自然に延びる真紀子の体を感じ、突然その方へハンドルをひねり変えて突き衝った。が、また真紀子をつけ狙う男の車に向かっても容赦なく突撃した。

運転が馴れるのに随って車はかなり自由に操縦することが出来た。そうなると争う気持ちを技術の拙劣さに隠す便利も出来て、一層この勝負は時間を忘れ、同乗の婦人も看板娘のようにますます役目を自覚して来る。そして、衝突の度びに発する火華が口づけの変形とも成り深まって来るのだった。

特に自分の好きな男と衝突したとき、女のあげる悲鳴は大げさだった。一人の女は絶えずこれ見よとばかりに好んで悲鳴を上げた。久慈はその女が小憎らしくて突きかかったが、その度びにも女は喜びの悲鳴を上げるのだった。一番操縦の上手い顔の緊った美しい青年は、悠悠とひとり遠方を廻って来ては、急ピッチでいつも真紀子の横腹へ突入して来た。真紀子もその青年が近よる度びにそわそわとして、自分以外の誰に衝るものかと注意を怠らない風情だった。

久慈は度び度び美青年の自動車を狙って衝った。青年の猛烈な攻撃が頻発して来ると、久慈は真紀子への嫉妬も嵩じ、突然首を廻して千鶴子の車へ突撃したりした。