Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
「これは困る。こうなっちゃ。」と矢代も思わず中田のように云って、ぶらぶら俯向き加減に人垣の後の方をひとりほっつき廻りながら、――もし生きるという生を構成している国情の大部のものが通じ合わぬなら、世の中の秩序を保つための政治は、ただ僅かな外面的な形式の部分ばかりで他国と触れ合うまでにすぎぬと思った。そんなら恐るべき人生の進行だ。――
「まったく困る。何んとかならぬものか、何んとか。」
このように考えているときでも、赤旗の流れはますます続いて来ていた。ぶるんぶるんと精悍な胴ぶるいをしているような、脂の満ち張った足並みで繰り出て来たのは、ひと目でこの日の行事の中心団体と目された一群だと分ったが、内臓を立ち割って日に晒し出したようなこれらの光景は、それはすでにもう伝統ではないものが、政治を掴み動かしているのと同じだった。しかも、先日までこれを制御していた洒脱な警官の群れは、自分の意志を隠し、政府の与えた命令のまま今日はこの行進の無事ならんことを護っている。
ふと矢代は、ここに法を守護するフランスの伝統を見たと思った。もしこの法の守護という精神が失われたら、このフランスから自由も失われたときであろう。