Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
――彼はそんなに思うとここまで押し転げて来たフランスの国の歴史と、自分の国の歴史の相違を合せ考えてみるのだった。
「サンゼリゼの方、三時半だって?」
と久慈は写真を一二枚とってから矢代に訊ね時計を見た。
「うむ、もう行こう。」
サンゼリゼでは今ごろは伝統派が待ち構えているころだと矢代は思ったが、久慈には黙って自動車に千鶴子や真紀子を乗せて走らせた。
「何んだかこの間ドームで聞いていたら、社会意識がフランスみたいに変って来たら、音楽意識も変ってしまうんだって、そんなに云ってる人があるのよ。そしたら、べートオベンの曲なんかももうそれや駄目だ、と他の一人が云ってるの。本当かしら。」
と真紀子が久慈の方に身をよせて訊ねた。
「それは外人が云ってるの?」
と久慈は訊ね返した。
「ええ、そう、あれはたしかルーマニア人らしかったわ。」
「日本でも一時そんなことが、問題になったことがあったな。誰だったか、天文学にマルキシズムの天文学だの、ブルジョアの天文学だのって区別、あってたまるかって、あのころは日本も危なかったね。」
矢代はそれとなく真紀子の提出した複雑な問題をこの場合の単純さに納めて笑った。