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Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

彼は道路から千鶴子たちのいる方を眺めてみると、雛壇の群衆の中に沈んで小さく見える千鶴子も、こちらを見て軽く笑い片手を上げた。矢代も一寸手で合図をした。彼はもうこれならこのまま明旦二人が別れて行こうとも絶対に大丈夫だと思った。それは確信に近い感じで、むしろ、また会うときを想像する喜びの方が大きいほど、生き生きとした信頼の心からだった。

「君、あそこに隠れている警官隊ね。」

と塩野は建物の蔭の小路に固まっているパリ市直属の鉄甲の警官隊を指差して云った。「あれは軍隊から優秀な兵士ばかり選抜して来た警官隊なんだよ。あれは一番強くって公平で勇敢なんだ。あれを撮ろう。」

塩野と久慈が広い道路を横切っていって半ばごろまで渡り切ったとき、突然矢代の後ろの方から、

「あれだッ。」

と叫んだものがあった。矢代はその方を向くと、ソフトを冠った紳士がステッキで坂下のロンパンの方を差していた。ロンパンの森の方から赤旗を首に立てた一台の自動車が馳けて来た。カフェーの一角が急に衝撃を受けて動き停ったと思うと、まだマルセエーズの合唱に揺れているそちこちの群衆の上を、ひと薙ぎその衝撃が薙ぎ通してから、次第にざわざわと揺れ出した。