Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
矢代から記念と云われると、千鶴子も気軽く笑い愉しそうに応じるのだった。
すぐ何もすることがなくなったとき千鶴子は下へコーヒーを※(「口+云」、第3水準1-14-87)咐けた。ソファに向い合ってから、急に千鶴子はロンドンの兄のところへ電話をかけてみようかと矢代に相談した。
「しかし、帰る時間を知ってらっしゃるなら、何もわざわざ不経済する要ないでしょう。」
と矢代はこれにも反対した。
「でもね、兄さんにはあなたのことよくお話してあるんですのよ。ですから一度電話ででもお話しになって下さると、あたし、何かと後でいいかと思うんだけど。」
こう云って千鶴子は矢代の顔を見たが、すぐまた、
「どちらも声だけじゃ何んだか変ね。よしますわ。」
と打ち消した。火の点くように顔の赧くなり始めていた矢代もそれでほっとするのだった。コーヒーが来てから最後の晩餐だからというので、葡萄酒もついでに頼んだ。矢代はここにいるのも後一時間ほどだと思い、時計を見るともう十一時近かった。
「明日の朝は十時とすると、九時にここへ来ればいいな。自動車は僕が乗って来ますからそれで行きましょう。」
矢代は云うべき必要なことはもうないものかと考えたが、旅に必要なことは何もなかった。