Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
しかし、争いの鎮まりかけたものを再びかきたてるこの無用も、もうするだけしてしまいたいと彼は決心するのだった。
「あなたは物事を考えるのに、ヨーロッパを基準にして考えているのですよ。しかし、僕はやはり日本を基準にして考えてますからね。それだけはどう仕様もないものだと思うな。」
「それじゃ、日本へ帰ってから違うのは、やはりあなたの方が違うわけね。あたしの今の考えの方が正しいわけだわ。きっとあたしの方が正しくってよ。あたし、あなたが変ってもあたし変らないと思う。きっとあなたの方が変ると思うわ。」
「とにかく、そんなことは云ったって始まらないことばかりですからね。それですよ。僕がこんなに用心ぶかいのは。」
こう云いながらも矢代には、今は二人の争ったことは愉しいことだったが、しかし、こんなに好意を持ってくれた婦人がこの千鶴子だったのだと思うと、また一層彼は帰ってからの怖れが心配になるのだった。現にこの日の昼間のことを考えても、サンゼリゼの伝統派と左翼との格闘のさまなど、カソリックと科学との闘争だといえば云うことの出来る精神の違いの流血沙汰だったと思われた。彼はあんなことが、千鶴子と自分との以後の生活に起ったなら、終生どこを二人の結ぶ心として生きてゆくべきなのか、これは考えれば考えるほど心中根を深めてゆくばかりだった。