Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

そればかりではない、人人のよく用いる世界史というものの内容も、所詮はカソリックと自然科学の歴史と見ても良いと矢代には思われる。そしてこの二つの中心の希い念う不断の希望をも想像もして見ずに、世界の歴史という人間群衆のもがき悲しみ、笑い崩れた姿態の放つさまざまな妖火業念も、また彼には考えられないことだった。

すべては歴史とはいえ、歴史とはいったい何ものであろう――矢代はこう思うと、いつも漠然としてしまうその最後に浮んで来る想念は、伊勢の大鳥居の姿と、エジプトで見たスフィンクスの微笑であった。信長も、光秀、秀吉も、ともに見ることもなくして死んでしまったそのスフィンクスの顔を見たときも、矢代は、

「ああ、これか。」

と思って、ただぼんやりしただけの自分だったと思った。しかしそのスフィンクスの背後に聳えていたピラミッドの暗闇の穴の中を潜ったときに、久慈に手を持たれ、ふっと苦しい呼吸でひき上げられていた千鶴子の姿を一緒に矢代は思い出す。そうすると、あの久慈は今でも千鶴子を愛しているにちがいないと、ふとそんなに思ったりした。その久慈が今もパリから千鶴子にせっせと手紙を出している姿を思った。