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Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

矢代はその日の夜、千鶴子にあてて手紙を書いたが、前夜の芽出度い個人的な喜びに関しては少しも触れなかった。そして、昨日の失礼した謝罪を述べて、カソリックについて意見がましく自分の云ったことなど、別に気にせずそのままつづけて貰いたいと書きながらも、ともすると、抜け殻になっているものに云うような慰めの優しい文面にもなるのだった。

千鶴子に手紙を書いて二三日してからも、矢代はまだ結婚の夜の興奮がつづいて去らなかった。また実際彼は、夢でもなくうつつでもない、あのように不可思議なことがこの世の中にあることを知った以上は、いわゆる人人の眺め信じている実在というものは、何を意味するものだろうと考えるようになった。人はそれぞれ肉体を具えているのに、まったくあの没我のひとときの感覚の方がはるかに喜びを失わぬという奇妙な現象について――まったくそれにぶつかってみて初めて夢を夢とは信ぜられぬ理知について、――このようなことを矢代はいろいろ考えてみているうちに、人の生命というものの持ち得る感覚は、肉体の死滅の後もなお一層生き生きとしてゆくものかもしれないと思い始めて来るのだった。