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Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

千鶴子のくすぐるように云う微笑を久慈は臆せずにやにやして、

「手紙に書くほどだから、分ってるでしょう。ね、君?」

と突然鋭く冠せかかって矢代を見た。

「うむ。」

と矢代はもううるさそうに答え、自分が千鶴子に久慈のような手廻しの巧みなことが出来ないなら、せめて外人から千鶴子を護るだけでも久慈の思案に従いたいと思うのだった。

「アンリエットはあれは矢代君を好きなんですよ。昨夕も僕はひどく弱らされてね。君、知らないだろう。何んにも。」

と久慈は笑いながらまた矢代の方を覗いて訊ねた。

「そう。」

千鶴子もちらりと微笑をもらして矢代を見たが、そのまま黙って自動車に揺られていった。

矢代は、アンリエットが昨夜自分に好意をよせた表現を特に一度もしたとは思わなかったが、強いて千鶴子に弁解する要もまたこのときの彼にはなかった。

「千鶴子さんがパリへ来て下すったので、僕もほっとしましたよ。もう毎日毎日久慈君と僕は喧嘩ばかりしてるんです。」

「まア、どうして?」と千鶴子は意外な様子で笑顔を消して訊ねた。

「それを云うと、忽ちここでも喧嘩になるから云いませんがね。ここにいると、どういうものだか、一度云い出したら後へは退けなくなるんですよ。