Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

新橋を渡ってから右に折れて、また二人は桜田本郷町を真直ぐに歩いていった。その通りは家具店が多く、椅子や卓子が店頭高く積っていた。退屈をしたときパリでよく、家具店をこうして千鶴子と一緒に見て廻った矢代は、そのときのことをふと思い泛べた。そして、今は自分たちの結婚生活の後に使う家具類を、自然に採択する注意もまた彼は怠らないのだった。

ある店さきまで来たとき、矢代は美しい革製の揃いのソファを二つ見つけて中へ這入っていった。デザインも簡素で弱りのないひき緊ったところに、立ち去りがたいものがあった。

「いいなアこれは。」

矢代が小首をかしげると千鶴子は傍から、

「綺麗ね。何んだか見たことのあるようなものだけど、あたしもこれが一番好きだわ。」と云った。

彼はそのソファに腰を降ろしてみているうち、画廊で戯れたさきの木山老人の姿を想い出して傍の千鶴子を仰いだ。

「君もちょっと坐ってみてくれ給え。工合はどう。」

空いた横の一つへ千鶴子も腰を降ろしてみたが、二人並んでそうして坐ってみると、極まり悪げに俯向いてくすっと笑った。そして、すぐまた急いで立ち上った。

「駄目駄目。