Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
「やあ、いらっしゃい。さきほどは失礼しました。」
離れの洋館の中へ這入ったとき、田辺侯爵は資生堂の昼間の画廊のときとは違い、打ち解けた笑顔の挨拶だった。集りの中には由吉を初め、矢代の知らぬ人人も多かったが、婦人たちはまだ誰も姿を見せていなかった。
洋館は古風ながらも、後から改造したと見えるコルビュジエ風な明るさがあった。麻布の方を一望に見降ろせる側一面に巨きなガラスを繞らせ、鼠の地色に目立たぬ赤の模様の入った絨毯が、部屋の調度や庭を害せず落ちつけた。黒塗の棚に初期李朝の秋草の壺が一つ置いてあって、壁額に嵌った十七世紀の銅版画と好個の対照をなし、高雅な趣味の滲み出ている部屋だった。
ストーブの傍に集った人人の中では、スペインの内乱に関する談が続けられている最中だった。その中の一番最近にパリから帰って来たという若い外交官が、傍の佐佐という画家に突然云った。
「そら、あのクーポールにいたスペイン人のボーイね。よく僕らの傍へ来た男があるじゃないか。あれがね、新聞を見ていて僕に、もうこうしちゃいられない。自分の方は負けて来た、いよいよ自分も祖国へ帰って戦う、と決然として云ったよ。