Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
わたしの悩みはそれなんですよ。どんな善い物を作っても、日本の人はわたしが作ったものだとは、思ってくれないのですから、これは残念です。一生懸命になっているものが、一つも真面目に相手にされないなんて、こんな悲しむべきことはありませんよ。」
思いがけなく富貴の悲しみを聞きつけた思いで、矢代は久木男爵の孤独な顔を注意した。
「じゃ、まだわれわれの方があなたより幸福なわけですかね。」
と音楽家の遊部がアッペリティフに顔を染めて笑った。
「いや、それは本当ですよ。わたしも日本人が相手にしてくれないので、仕様もなく、このごろはずっと外国で作品を発表しておりますが、外人はみな真面目に取り扱ってくれております。相当にこれでも認められているのですよ。」
冗談らしく老人のそう云う笑いの蔭にも、いずれこの真実さえ皆から揉み消されるであろうと寂しむ響きが流れていた。
半ば繰り上げられた部屋仕切りの天鵞絨の蔭からピアノの羽根が見えていて、その方から食器の音が聞えてきた。矢代は千鶴子の方にはあまり視線をむけないように気をつけた。そして、久木男爵の談を聞きながらも、さっきから一同とは違った、ある云いがたい、別な親しみと苦しみとを混じた気持ちを次第に強く覚えていた。