Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

と訊ねた。

「フランス人だ。郵船にいたんだがね。」

「そうだろうな。」

由吉は日本語の礼を消してまたフランス語に書き変えるとその紙片をコックに渡して貰いたいと女中に頼んだ。一同だれも由吉に少し敗けた形で暫く黙った。しかし、臆面もなく客たちの前で、そんなことを敢てした由吉は少し照れたのであろう。

「どうもこんなことは面倒くさいが、して置くことはして置く方が良いからな。」ひとり弁解めいた笑顔になり「やはり僕も道徳派かな。」と呟いた。そこでまた一同の客は笑い出した。

「いやそれが科学派さ。」

遊部が突然の笑いをふき消すように卓の上から由吉の方へ身を捻じ向けて云った。「美味いものを見つけて美味いと云うんだからね。そういう実験の徳というのは科学性だよ。そこを忘れて道徳も研究も、価値があるわけのものじゃないさ。」

「じゃ、君の夫婦別れの原因も、つまり科学性の徳といったわけだな。」と由吉は云って笑った。

この巧妙な由吉の冗談は暫くまた笑いの波を食堂に響かせていたが、遊部に逃げられたみち子の表情だけ一隅で鋭く吹き尖って来るにつれ、一座はようやく事の重大さを感じて白み始めた。