Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

しかし、二人の過去のいきさつなど知らぬ老人の久木男爵だけは、底流している一座の苦さにはまだ気附かぬ様子で、却って、真面目な議論の対象をいつも揉み潰す由吉に多少反感を覚えたらしく、矢代の方を向き直った。

「あなたのさっき仰言ったそこのところ、何んでしたっけ――そら、西洋が二十世紀だからといって、東洋も二十世紀だとは限らないというのね。それは面白い御観察だと思ったのですが、そうすると、われわれの考えている科学というようなものは、二十世紀でもないのに、二十世紀の西洋人の考えることを、同じように考える誤りというか、危険というか、とにかく、そういう誤差を考えに入れるべきだと仰言るわけなんでしたね。そこで、道徳は科学より上だと仰言るのは、どういう風な論理があるんですか?」

「論理というようなものはないのですよ。」と矢代は云った。

「どうして?」

矢代は少し詰って答えかねた。自分が謙遜して論理のあるべきところをさえ、無自覚にない風を装って示したと受け取られた危険を感じたからだった。彼は顔が充血して来るのを覚えながら、同時に意外に難しい大問題を繰り拡げてしまっている現状をも意識した。