Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
その中央に、跳り上る逞しい八頭の馬を御した女神の彫像が噴水の中に立っていて、なだらかな美しい肩の上に夥しい鳩の糞が垂れていた。
「君、もう帰らないといけないじゃないか。アンリエットが六時に行くと云ったぞ。」
と久慈は矢代に云って時計を出した。
「あ、そうだ。しかし、あれは僕をからかったんだよ、来るものか。」
矢代は忘れていたアンリエットとの時間を思い出したが、もう暫くは千鶴子と一緒にいたいと思った。
「いや、それや駄目だ。フランス人は時間を間違うことは絶対にないよ。もしそのときこちらが一分でも間違ったら、もう交渉はぴたりと停ったことになるんだからね。日本とそこは心理的に違うんだよ。」
この日に限って強いて、アンリエットを押しつけるようにしたがる久慈だったが、それも自分をからかうには手ごろな面白さなのだろうと矢代は思った。
「しかし、パリの女と二人きりになるのは不便だね。何も云うことないじゃないか。君は初め何んと云ったんだ?」
「日本のことでも話せばいいさ。君の得意なところを一席やれよ。」
矢代は夕食の時間と場所とを打ち合せて二人と別れ自分のホテルへ戻っていった。