Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
「もっとやれやれ。」とまた由吉は面白そうに二人をあおり立てたので、論議とは違い室内は一層賑かな笑いに満ちて来た。
「どっちも誠実さが足りないぞ。」
と塩野は、前から二人の間に挟まっていたあるもどかしさを吐き出したいらしく、彼もまた元気づいた声になった。
「とにかく、諸君に心配かけて相すまないが、どうもね――このマリヤ観音は、道徳というものを知らないのだよ。」
遊部のそう云うのに由吉は隙を与えず、
「今ごろ道徳に負ける奴があるか。」と彼の顔を窺き込んだ。
「先日、あなたのあの人見てよ。」
みち子はもう他のもののことなど見向きもせず、遊部だけそこにいるような和らかな眼で彼を見詰めた。
「見たか。どこで?」
「ある所よ。――でも、あなた本当にあの人好きなの。」
「いいね。誠実さがあるよ。」
「そうかしら。あたし、あんな人に感心するなんて、少しあなたどうかしてるんだと思ったわ。」
と、みち子は顎を引き、遊部の胸のあたりに視線を落しながら、やや皮肉な微笑を洩して云った。
「そうじゃないよ。それや、そこは君には分んないさ。」
「でも、あたしの眼は間違っちゃいないわ。案外ねあなたも。