Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

」

六十に近い年にしてはまだ頬の皺もあまり見えず、切れ長の眼に、髪も濃い母の顔を矢代は眺め、母に較べて老いこんだ父の白髪を眼に泛べた。

「しかし、お父さんも年をとられたと、つくづくこのごろ思うな。外国へ僕が行く前には、ああではなかったんだが。」

「一緒にいると分らないけど、そうでしょうね。そうそう、先日もね、お父さんあなたのお嫁さんのことも心配してらっしゃるの。いつになったら耕一郎から云い出すか待ってみてるんだが、お前にはまだ何も云い出さないかって。あなたも決めるものなら、そろそろ決めて早くはありませんよ。」

嫁の話は母からは云い出さず、妹の幸子から、やがて切り出されることとのみ思っていたときとて、そんなに母から云い出されると、彼も自然に顔の熱てりを覚えた。それも自分の結婚の相手が千鶴子だと分れば、誰より反対しそうなものも、気性の強いこの母にちがいなかったが、言外に意もあるらしい今の母の話し振りでは、千鶴子のことも朧げながら早や察しているかと頷かれる節があった。

「細君のことは、まア、もう暫く待って下さい。」

矢代は言葉を濁し、気軽く菓子を摘まんだ。そして、昨日千鶴子と虎の門で見立てたソファがもう着きそうなころだと思って時計を見た。