Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
間もなく寺から来た僧侶の誦経が始ったので、矢代は家の者や親戚たちと一緒に棺前に並んだ。誦経の声は渋い良い声だった。意味がよく分らなかったが、真宗の教祖の親鸞の思想は、前から彼は好きだった。
よく晴れた暖い日で、いつも来る鶯がこの日も庭に来ていた。父のいた平安な日が今日も外には来ていたのだと、ふと彼は思った。
それにも拘らず、起ることは起っている――そう思うと、その起って来た死も特別なことではなく、一日のうちにはどこかへ来ている親しむべき何ものかかもしれない、とそんなに思ったりして自分をなだめ、彼は勇気がまた出て来るのだった。
告別式は二時ごろから始った。矢代は玄関前の喪主の位置に立って来る人人に挨拶した。参列の人人の自動車の黒い胴が、常緑樹に溜った雪の中から隠見した。焼香のつづく間も廂から落ちる雪解けの雫の音が絶えずしていて、庭の雪に照り返った日光をきつく受け、出て行く人人の面が誰のも明るく門から左右に別れていった。
焼香の潮どきが一段落過ぎたと思われるころ、思いがけなく千鶴子が塩野と一緒に這入って来た。この日の千鶴子は珍らしく紋服で、白い襟もとの重ねがいつもより大人びて美しかった。