Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
矢代たちは当てられた茶屋へ入って休むことにした。もうここでは先へ急ぐ何ごともなく終点の上で茶を飲む気楽さがあって、出る談も至極のどかなことばかりだった。矢代も皆に寛いで貰いたく沈まぬように心掛けて、自然と浮いた談を選ぶ風にした。
「前には、こういうところで暮す人も、よくいるものだと思ったもんだが、しかし、自分に直接の用が出来て見ると、なかなかここも結構なところだと思い直したね。現金なもんだ。」
矢代が傍の塩野にそう云うのに、皆は声を上げて揃って笑った。
「何んでも焼くんだからな、それや、ここほど清潔なところはないわけだ。」と委員長の川奈も云って、さも感慨ありげにあたりを眺め直した。
一段高くなっているこの部屋は日光室のように明るく、矢代は連夜の睡眠の不足と疲れで自然と睡けも出ようとした。廂から落ちる雪解けの雫の音を聞きつつ、金色の柩車を下に蒐めた紅梅の群を眺めていると、その一角だけ近よりがたい別世界の美しさを見る思いで、彼は暫く父の死を忘れ、ほうけたようにぼんやりするのだった。
千鶴子はさきから塩野の横にかしこまって腰かけたまま黙っていた。矢代は親戚たちにまだ二人を紹介しないのも、千鶴子を塩野の夫人と思っているらしい一同のものに、今さら別な混乱した推測を与えたくはなかったからだったが、父の死を中心に蒐った