Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
「ええ、ここのお料理、相当でしてよ。」とアンリエットはフランス語で答えた。
海老や鶏や鰈が出ても四人は一口も饒舌らなかった。いっぱいに客の詰ったホールの中は豪華な花壇のように各国人の笑顔で満ちて来たが、四人の食卓の間だけは、名状すべからざる陰欝な鬼気が森森とつづいていった。
久慈はふくれ切って、矢代に、何ぜお前はアンリエットなんか連れて来たのだと云わぬばかりに、パンばかりひきち切ってむしゃむしゃ食べた。矢代もいつ何が出てどうして食べたかも分らぬままにフォークを使い葡萄酒を飲んだ。すると、突然久慈は俯向いたまま、
「懐疑主義か、ふん。」と云ってひとりにやにや笑い出した。
「まだやってるのか。」矢代はじっと久慈の眼を見詰めた。
「いや、俺は東野に負けたんじゃないよ。断じてそうじゃない。」
一同はどっと噴き出すように声を合せて笑った。
「何がおかしい。あれで僕が負けたんなら、腹を切るよ。」
久慈一人はなお不機嫌であったが、それが却って周囲の三人に浮き浮きとした雑談を湧き上らせた。しかし、久慈は急にボーイを呼んで勘定を命じた。一同ぼんやりして黙っているとき、
「じゃ、今日はこれで失敬する。