Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

君はいつも傍にいたくせに、写真なんて機械に気を取られて、知らないんだろう。」と云って笑った。

「ピエール氏が好きか、を好きか、どっちだ。」

「さア、それはこの人に聞かなくちゃ。」

「え、どっち千鶴子ちゃん。」と塩野は、またこのようなことに限っては稀な稚拙さで、顔を前に突き出して訊ねた。

「さア、どうかしら。」

特に真面目に聞くべきことでも無論なく、今は過ぎ去ったこととして軽軽と取り扱う千鶴子の返事に、矢代は、この人の過去には自分との間に似た幾経過もあったこととも察せられて来るのだった。こんなことは、矢代の胸苦しさを一層ふかめそうな筈なのに、却ってそれが思いもうけぬ手柄のような感興を誘うのは、やはり千鶴子の人柄のせいだろうか、このようなことのある場合に、死を賭して操守を重んじた幾代ものカソリックの訓練の齎らす信用のせいだろうか。――矢代はいつもこれに似た疑問の起って来るときどき、思い出すことは、フロウレンスへ行ったときに見た山上のカソリックの聖堂の中だった。その日は日曜日で、洞穴に似たフィエゾレの内部には蝋燭が立て連ねられ、黒色に揃いの白襟の娘たちの一団が、高く捧げられた金色の十字架に対い合唱していた。