Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
始終椅子ぶかくかけていた佐佐も背を起して来た。そして
「手術の立会いに立たされたみたいで、疲れたよ。」とにこにこして彼もコップを矢代に合せた。
「いつの間にやら僕は、君らに荒療治をされていたんだね。以後注意するよ。」矢代はそう云いつつも、たしかに今夜の塩野の果敢な行動は、サンゼリゼのときの彼の働きとも共通したものだと思い、あまりにも明快すぎる彼の援助には、眼に見えた効果のあったそれだけにまた不安も感じられた。しかし、千鶴子の母が見えなくなってからは、争われず緊張が解け、明日からまた旅をつづけるホテル住いのような気楽さに戻るのが、いつか身にしみついたものにまでなっているのかと、それもこういうときでなくては分らぬ自分を省みて怪しまれた。
「お母さん、何んだか嬉しそうなの。ぜひ皆さんに泊っていただくようにって、そんな命令ですのよ。どうぞ。」千鶴子は戻って来ると三人を等分に見て笑った。
「そう云われると、急に何んだか寂しくなったね、帰るか、え。」と塩野は佐佐を見た。
「僕は今夜はこの絵に会いに来たんだからね、もうこれで満足だよ。」佐佐はにやにやしながら壁の自分の風景画をまた眺めた。