Japanische Klassiker mit Furigana
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りょこうのこんじゃく
旅行の今昔
幸田 露伴
Lesen Sie 旅行の今昔 (りょこうのこんじゃく) von 幸田 露伴 (こうだろはん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.174 Zeichen · 5 Bildschirme
「振り分けにして行李を肩に」なんていう蛮カラ的の事は要せぬようになりまして、男子でも鏡、コスメチック、頭髪ブラッシに衣服ブラシ、ステッキには金物の光り美しく、帽子には繊塵も無く、靴には狗の髭の影も映るというように、万事奇麗事で、ユラリユラリと優美都雅を極めた有様でもって旅行するようになるのですから、まして夫人方は「虫の垂れ衣」を被った大時代や、「あづまからげ」に草履ばき、「引裂き紙で後ぐくり」なんという古めかしい事は夢に見ようといっても見られなくなり行きまして、母が真中で子供を左右にした「三宝荒神」などは浮世絵で見るほかには絵に見る事も無くなりましょう。で、万事贅沢安楽に旅行の出来るようになった代りには、芭蕉翁や西行法師なんかも、停車場で見送りの人々や出迎えの人々に、芭蕉翁万歳というようなことを云われるような理屈になって仕舞って、「野を横に汽車引むけよ郭公」とも云われない始末で、旅行に興味を与える主なる部分の「野趣」というものは甚だ減殺されて来たようです。と云って風雅がって汽車の線路の傍をポクポク歩くなんぞという事は、ヒネクレ過ぎて狂気じみて居ますから、とても出来る事では有りません。