Japanische Klassiker mit Furigana
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にちげつさま
日月様
Lesen Sie 日月様 (にちげつさま) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.162 Zeichen · 23 Bildschirme
ときくと、二人の娘がしばらく額をよせ集めてヒソヒソ話していたが、
「あゝそう、君ちゃんのことよ」
と、一人が大声で叫んだ。
「なんだ。君ちゃんか」
二人の娘は笑った。
「君ちゃんは、もう、いません、お風呂へ行った筈ですから、今日はもう来ませんわ」
「どこかへ行けば、会える場所があるんですか」
「それは、お店よ」
「お店?」
「御存知ないんですか。カフェー・ゴンドラと云いましてね、そこの露路の中程にあります。もう、出たころでしょう。でも、まだかも知れないわ」
私は礼をのべて、その露路へ行った。そこは軒なみにカフェーの立ち並んでいる所で、各々の戸口に美人女給が立って、露路へ迷いこむ通行人を呼びこみ、時には手を握って引っぱりこもうとしたりした。
私はゴンドラを見出してズカズカはいった。王子君五郎氏はそこのバーテンだろうと思ったのである。然し、バーテンダーは彼氏ではなかった。見廻したが、まだ、ほかにお客が一人もおらず、女給のほかに男は見当らなかった。
「この店に王子君五郎という人がいるときいたんですが、もしや、常連にそういう人がおりませんか」
「君ちゃんでしょう。えゝ、おります」