Japanische Klassiker mit Furigana
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にほんのでんせつ
日本の伝説
柳田 国男
Lesen Sie 日本の伝説 (にほんのでんせつ) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.931 Zeichen · 207 Bildschirme
諏訪様の方では、牛は鈍いからと、夜中にたって大急ぎでやって来られたので、先に越後分の塞の神という所まで来て、そこでやっと越後様の馬と出あわれた。これは来過ぎたわいと、少し引き返して出直して行かれたという所を、諏訪の平というのだそうであります。(小谷口碑集。新潟県西頸城郡根知村)
昔はこういうふうに、国の境を遠くと近くと、二所にきめて置く習慣があったらしいのであります。そうすればなるほど喧嘩をすることが、少くて済んだわけであります。豊後と日向との境の山路などでも、嶺から少し下って、双方に大きなしるしの杉の木がありました。そうして豊後領に寄った方を日向の木、これと反対に日向の側にある方の杉を、豊後の木といっておりました。百年ほど前にその豊後の木が枯れたので、伐って見ますと、太い幹からたくさんの錆びた鏃が出ました。これは矢立の杉ともいって、以前はその下を通る人々が、その木に向って箭を射こむことを、境の神を祭る作法としていたのであります。箱根の関山にも甲州の笹子峠にも、もとは大きな矢立杉の木があったのです。信州の諏訪の内鎌というのも、その箭の代りに鉄の鎌を、神木の幹に打ちこんだものと思われます。