Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しゃにちざくら
日本の名随筆17 春
河井 寛次郎
Lesen Sie 日本の名随筆17 春 (しゃにちざくら) von 河井 寛次郎 (かわいかんじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.051 Zeichen · 9 Bildschirme
町の人達は千軒の家と、十神山があるのに、この花がないままにしてはおけなかった。
その頃は、日本の各地にあった名木の更生期で、次々に枯れて行った。でも、名木を仕立てる様な気長な時間はもうそこにはなく、日本の各地がそうした様に、町の人達も亦此所へ沢山の若木を植えた。一番派手で一番成長の早い木を選んで植えた。そして、十年とたたないうちに、この丘一杯を花にしてしまった。
それは此所だけではなかった。各地共一緒で、花は個から群へ、群から団へと、結束させられて、ワッショワッショと春に向って、行進させられる事になった。
染井吉野は、そういう花にちがいなかった。然し、この丘を一つ越した次の丘の段々畑や、山の麓の農家の軒先などには、ひとりあるともなしに咲いている山桜などが、人に代って、静かにゆく春を惜しんでいる事は、昔と少しも変らなかった。