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Japanische Klassiker mit Furigana

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しゃにちざくら

日本の名随筆17 春

河井 寛次郎

Lesen Sie 日本の名随筆17 春 (しゃにちざくら) von 河井 寛次郎 (かわいかんじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.051 Zeichen · 9 Bildschirme

Aozora Bunko

立春開門

子供達は二月は冷凍された。それも炬燵にあたったままで冷凍された。町は冷蔵庫で雪、雪、雪。軒先からは真白に凍て付いた、鉄管の氷簾がさがっていた。水分を取られた空気はかちかちに乾いて、二月の扉は厚くて重かった。三月の声が叩いてくれない限り、これは開かなかった。然しそこにはたった一つの色として、咲いたままで凍らせられた、あの真夏の花氷のような炬燵があった。これは暖房の人工春とちがって、嘗つては洋燈が部屋の中心であったように、座敷にしか咲かない、季節の花であった。炬燵は子供達にはあたらなくても、あるという事だけで暖かくなった。ここは親しい来客には食卓でもあり、抹茶にもぼてぼて茶にも、最上の場所であった。

節分がすむと御寺の門には、立春大吉の紙札が張られて、季節の扉があけられたが、でもそれは暦の上のことで、寒さは一層きびしかった。でもこんな時候に相応して、そこには煮鱠などと言う惣菜があった。これはそじり大根に沙魚の子などを入れて、酢と醤油で煮たもので、暖かいうちに食べさせられたが、味は二月の骨とでも言い度いものであった。これはかすかではあったが、突き刺すような季節の力で子供達を刺激した。