Japanische Klassiker mit Furigana
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かにのかい
日本の怪談(二)
田中 貢太郎
Lesen Sie 日本の怪談(二) (かにのかい) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 80.664 Zeichen · 171 Bildschirme
「其処にいるのだよ」源吉は静に一間ばかり前に指をさした。
「今輪になっているのだよ」
「寝ぼけ小僧、何を見てそんなことを云う、地べたに草が生えているより他に何がある」
「お祖父さんも見えないというから、お前さんも見えないだろう、顔を洗ってくるがいいや、お諏訪様は白い蛇になっているのだよ」
「ほんとうにおると云うなら、俺がこの足で踏み潰してやる」
林田はそのまま進んで源吉の指をさしている辺をぐさと踏んだ。
「お諏訪様が、足に巻きついた」
源吉の詞と同時に林田はあっと云う叫び声を立てながら、毬を投げたように為作の鼻の前をくるくると転げて往った。
五
お勝は牧野の主人の治左衛門に送られて牧野家から帰っていた。それは前夜の事件を話して舅の迎いに来てくれるのを待っていようとすると、治左衛門が月が良いから月を見ながら送ってやろうと云うので、しかたなしに送ってもらうことにしたのであった。
二人は人家を離れて畑路に入ったところで、治左衛門がおずおずした詞で思いがけないことを云いだした。
「お勝殿、わしが今晩、お前を送って来たのは、すこし聞いてもらいたいことがあったからじゃ」