Japanische Klassiker mit Furigana
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かにのかい
日本の怪談(二)
田中 貢太郎
Lesen Sie 日本の怪談(二) (かにのかい) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 80.664 Zeichen · 171 Bildschirme
小八は女の顔に注意した。それは壮いな女であった。
「姐さんは、何時からこんなことをやってるんだ」と、小八は笑いながら云った。
「私はこの春から、此方へ売られております」
「他にもお前さんのような者がいるのか」
「それは数多おります。老人でも小供でも、お客さんの見たいと云う亡者になりますから……」
「面白いなあ」
「何の面白いことがございましょう、私は一生を五十両に売られておりますから、厭でもやらねばなりません」と、女は悲しそうに云った。
小八はたよりなさそうな女の顔をじっと見ていた。
「お願いでございますから、どうぞ今日のことは、お見逃しを願います、私ばかりでない、こんなことが表沙汰になりますと、主人がどんな目に逢うかも知れませんから……」
「……乃公は、先月死んじゃった女房に逢いたくなって、江戸からわざわざやって来た者だが、考えてみれば、此方が痴さ、やかましく云や、かえって耻さらしだ……」と云って、小八はまた心を女の方に向けて、「どうだ姐さん、お前もこんな処で、幽霊の真似をしていたところで、別に好い芽も出ないだろう、これから乃公と江戸へ往って、いっしょに暮そうじゃないか」