Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
かにのかい
日本の怪談(二)
田中 貢太郎
Lesen Sie 日本の怪談(二) (かにのかい) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 80.664 Zeichen · 171 Bildschirme
「ようこそお立寄りくださいました。さあ、どうぞ此方へ」
住職は小腰を屈めながら客殿の方へ隻手をさした。その眼には血みどろになった獣の屍が映っていた。
客殿は本堂の前を右の方へ折れ曲ったその横手の処にあった。監物が前に粗末な客殿の竹の簀子を敷いた縁側へ往った。監物は銃を背からおろして、それを簀子の上に投り出すように置きながら鷹揚に腰をかけた。
「やれ、やれ、みな疲労れたろう」
鹿を初め獲物の兎や雉などは、庭前の黄色くなりかけた芝草の上に置かれた。
其処へ柿色の腰衣を着けた納所坊主が、茶の盆を持って縁側の曲角から来た。その茶は監物の前に出された。監物は隻手にその茶碗を執って一口飲んで乾いた咽喉を潤しながら、見るともなしにむこうの方にやった眼にふと某物を認めた。
「彼の宮はなんだ」
監物の眼は丘の裾になった小さな祠に注がれていた。
「あれは薬師堂でございます。あの薬師の脇立になっております不動は、銘はありませんが、運慶か湛慶か、何人か名ある仏師の作でありましょう、ちょいと変っております」
傍にいた住職が云った。
「そうか、それは一つ見たいな」
監物はそう云って残りの茶を口にした。