Japanische Klassiker mit Furigana
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かにのかい
日本の怪談(二)
田中 貢太郎
Lesen Sie 日本の怪談(二) (かにのかい) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 80.664 Zeichen · 171 Bildschirme
それといっしょに赤い紙はめらめらと燃えてしまった。
「これで魔物は封じてしまったが、ただ一つ逃げた奴がある、ついすると、十八年目に祟りをするかも知れんから、その時の用意にこれをしんぜて置く」
旅僧は懐から一寸ばかりある木の札をだしてそれをお作の手に載せた。それは二三字の怪しい文字を刻みつけたものであった。
「これは人の手に渡してはならん、人が見せてくれと云うたら、偽物を見せさっしゃい」
「ありがとうございます」
「それで、十八年目に怪しいことがあったら、それを火に入れさっしゃい」
旅僧はこう云ってお作が礼を云おうとするのも待たないで飄然として往ってしまった。
お作は女の子が生れるとともに夫に死なれていたから、他に家内と云うものがなかった。お作は女の手一つで夫の形見を育てていたが、何時の間にかその小供も年比の女となった。
女は美しかった。村の壮い男の眼にその姿があった。それは秋の黄昏のことであった。狩装束をした服装の立派な武士が七八人の従者を伴れて来た。従者の手には弓や鉄砲があった。
「身分は憚るが、この方は御領内でも聞えた方じゃ、一夜の宿を頼もう」
従者の一人がお作と女の顔を見て云った。