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Japanische Klassiker mit Furigana

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かにのかい

日本の怪談(二)

田中 貢太郎

Lesen Sie 日本の怪談(二) (かにのかい) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 80.664 Zeichen · 171 Bildschirme

Aozora Bunko

洗濯にやってみると僅か二三枚の衣に朝出て往って午近くなっても帰らないので、母親が呼びに往ってみるとお種は谷川の水際にぼんやりと立っていた。

その夜伝蔵が仕事のかえりに寄った。伝蔵は戸波の家俊から日傭稼ぎに来ている者であった。お種と母親は表座敷に行灯を点けて麻をつないでいた。伝蔵は竹の簀子を敷いた縁側にあがって、その背の高いがっしりした体を見せていた。伝蔵は角力が上手で二見潟と云う名乗を持っていたが、体に似合わないおとなしい壮佼であった。

「お種さんは、今晩うかん顔をしておるが、どうした」

伝蔵は白いな顔をうっとりとさして麻をつないでいるお種の方を見た。

「うウ」

お種はそう云ったばかりで伝蔵のほうを見向きもしなかった。

「お種はよっぽど、どうかしておるよ」

母親は伝蔵の顔を見て云った。平生であったら伝蔵がこうして仕事の帰りに寄ると、お種は、

「もうすこしおってもいいじゃないか」

と、云って夜おそくまで引止めて話すのが常であった。

「どうしたろう」

「この二三日、どうもおかしい」

伝蔵は母親と暫く話していたが、どうしてもお種が対手にならないので、淋しそうな顔をして帰って往った。