Japanische Klassiker mit Furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Lesen Sie 日本婦道記 (にほんふどうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.620 Zeichen · 26 Bildschirme
おばあさまも「それはむつかしいことだ……」と仰有って、しばらく黙って考えておいでだった。おちつかぬ眼をお庭へやると、井の端の桃がさかりに花咲いて、下枝のあたりはさそう風もないのにほろほろと散っているのがみえた。嫁にゆくつもりはないのかとおばあさまにはじめて云われたのは、ちょうどあの桃の散りそめる頃のことだったが、いつかおなじ季節がめぐって来たのだと思い、一年の明け暮れを、そのあいだの身の上の変り方をつくづくふりかえる気持だった。
「わたくしにもよくわからないが」とおばあさまがやや暫くして顔をおあげになった。「どんなに巧みな方法があったにしても、結局は継母まま子という事実には変りがないのだから、心構えとか扱い方とかいうことは考えずに初めからごくしぜんにしてゆくほうがいいと思いますね。本当の母子のようにとは誰しも考えるだろうけれど、悪く云えばそれは虚栄です。継母まま子でいいのですよ。寧ろもっとも美しい継母まま子になる、そう考えるほうが本当ではないかしらん……」私にはよくわかるようでもあり、ますますむずかしくなるようにも感じられた。「ただひとつ、こういうことは云えると思います」