Japanische Klassiker mit Furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Lesen Sie 日本婦道記 (にほんふどうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.743 Zeichen · 22 Bildschirme
四
――どうして妻はあれほどのなげきをかれらに与えるのか、かれらにとって妻はそれほどおおきな存在だったのか。藤右衛門は校閲の筆をやすめて、いくたび不審にうたれたか知れなかった。初七日の法会がすんだ夜である。ひさびさに子供たちと食事をした藤右衛門は、まえから考えていたのであろう、格之助を呼んで、今宵から屋敷うちで看経はならぬと云った。
「供養はいちどに仕すませるものではない、十日二十日の看経より、ながく心にとめて忘れぬこそ、仏へのまことの回向だ」
四
「よくそう申し聞かせて」
と藤右衛門はつづけて云った。
「今宵からはかたく無用だと云え、それから、その者どもにやすのかたみわけをして遣わそうと思うがどうか」
「かたじけのう存じます、わたくしからおねがい申すつもりでおりました、さぞよろこぶことでございましょう」
「それでは遣わすべき者を呼んでまいれ」
そう云って藤右衛門は立った。
婢頭のそよをつれて亡き妻の居間へはいっていったとき、呼びあげられた家士やしもべの女房たちが、次の間にひかえて平伏していた。部屋のあるじが一年あまりの病間ぐらしで、ながらく使わずにあったためか、そこには婦人の居間らしいなんのにおいもなく、年代を経て古くつやを帯びた調度類が、塵もとめぬ清浄さできちんとならんでいるだけだった。