Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Lesen Sie 日本婦道記 (にほんふどうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.547 Zeichen · 23 Bildschirme
六
という安之助の気持もよくわかった。それがみよの心に未練をおこさせた、ちょうど六兵衛の家の背戸で熟れた柿の実をみつけたときのように、「母の心」がどうしようもなくみよをうごかしたのである。――せめて安之助だけは世にだしたい。みよは母の愛情から一つのことを思いついた、それは箭竹をつくるとき、筈巻の下にあたるところへ「大願」と二字を小さく彫りつけることだった。きわめて小さく、たやすくはわからないように。もしかすればそれがごしゅくんのお手に触れるかもしれない、矢は的に射当てるものだから……。みよはますますよい矢をつくるようになった。そして必ず「大願」の二字を彫りつけていた。どうぞこの文字がとのさまのお眼にとまりますように。そう祈りながら……。
六
みずから審問に当ったけんもつ忠善は、みよの申立てを聴きながら泣いた、審問が終って、自分の居間へはいってからも涙がせきあげてきてとまらなかった。――女にもあれほどの者がいたのか。いくたびもそう思った。武士の妻としては当然の覚悟かもしれない、しかし当然のことがなかなかおこなわれにくいものである。当面の大事にはりっぱに働くことができる者も、十年ふたいてんの心を持ち続けることはむつかしい。