Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうぶんにほんばし
旧聞日本橋
長谷川 時雨
Lesen Sie 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.172 Zeichen · 36 Bildschirme
父は幼少のあたしを連れて、撃剣の会へいったり、釣堀にいったり、政談演説会へいったりした。種々な名誉職をもって来られても、迷惑だと断わるのがつねだった。よんどころなく弁護士会長とか、市の学務委員とか、市参事会員とかにはなっていたが、恬淡な性質で、あばたがあるので菊石と号したりしたのを、小室信夫氏が、あまりおかしいから溪石にしろと言ったというふうな人柄だった。
しかし、父の酒飲みなのを知って舅たちが毎夜酒宴を張って、料亭に招じるのを、あたしは見まい聞くまいとばかりしていた。いつであったか、父は米国から帰って来た星亨氏に内見を申し込まれ、星氏が総理大臣になることがあったら、父に市長になってくれと言われたが、嫌だと言ったということは、あたしに話したが――どうも、あたしの婚家のいやな気風が、生家の、あのものがたい家憲の一角を、ぶちこわしている気がして、不安に思いながら、あたしは父と母にも遠くなっていた。
父は、不名誉な鉄管事件というものに連座した。父は手紙でもって言ってよこした。
長く考えていた良いことを、ちょっとした短いみじかい分時にぶちこわしてしまった。