Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はやみみさんじとりものききがき

早耳三次捕物聞書

林 不忘

Lesen Sie 早耳三次捕物聞書 (はやみみさんじとりものききがき) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.707 Zeichen · 12 Bildschirme

Aozora Bunko

「毎度どうも御ひいきにあずかりましてありがとうございます。わざわざお運びを願うのもなんですから、御住処さえお知らせ下さいますれば、毎晩一合ずつ手前のほうからお届けいたします。」

が、女はじろりと番頭の顔を見たきり、返事もせずに出て行ってしまった。

唖だろうということになったが、そうでない証拠にはこっちのいうことはわかるらしい。

毎日全身ぬれてくるのはどういう仔細だ?

ぬれてくるわの化粧坂、はいいが、なんにしても奇態な女。

――というので、あんまり気になるから、ある夕方、よせばいいのに主人自身がこっそり女の跡をつけてみた。

女はすたすた藁草履を踏んで、浜のほうへ歩いて行く。この辺はもう人家もない。右手に薩州お蔵屋敷の森がこんもりと宵月に浮んでいた。

風が磯の香を運んで来る。行手に、もと船大工の仕事場だった大きな一棟が、荒れはてたお城のように黒ぐろと横たわっている。このさき、建物といってはこれ一つしかないのだ。

はて心得ぬ! あんなところへはいるのかしら?

と思いながら、なおも気どられないように間隔を置いて、和泉屋が尾行してゆくと、女はすうっとその船大工場の横を通り過ぎた。